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COVID-19: 知っておきたい10のこと

公開日 14-05-2020 カテゴリ

本稿は 弊社の DynaMed 編集チームが、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に関してよく寄せられる10の質問に回答した EBM Focus の記事(2020年4月9日投稿)を翻訳したものです。

1. 病院の待合室などでCOVID-19の症状を呈している人の近くに座ることは「高リスク」なのか?
米国感染症対策センター(CDC)は、COVID-19の症状がある患者と同じ待合室・教室に座っていても2mほど(6フィート)離れていれば、ばく露のリスクは低いと考えています。もちろん、CDCは症状のある患者にはマスクの着用を推奨しており、医療提供者の向けのチェックリストも用意されています。

2. 再感染はあるのか?
COVID-19に感染した患者がウイルスに対する抗体を獲得することは明らかですが、それがどのくらいの期間持続するかは今のところ不明です。マカクザルを用いたごく初期の研究によると、霊長類で短期的な免疫が実証されたとされていますが、これらのデータはまだ査読されていません。SARS(症例致死率11%、2002年)やMERS(症例致死率39%、2012年)流行時の生存者のデータが、ワクチンの開発には有用かもしれません。 ただコロナウイルスは変異のスピードが速い RNA ウイルスであり、免疫も一時的なものである可能性が懸念されています(毎年インフルエンザワクチンが必要な理由とよく似ています)。

3. 空気中やものの表面に付着したコロナウイルスはどのくらいの期間、感染性を維持するのか?
SARS-CoV-2 は、空気中では数時間、物体の表面では数日間、感染性を保つことができます。エアロゾル化された粒子としてのウイルスの半減期の中央値は約 1 時間ですが、空気中で数時間、感染性を維持できます。 またIn vitro試験で、SARS-CoV-2はプラスチックやステンレス鋼の表面では72時間、段ボールは24時間、銅は4時間まで生存することが実証されています。ただ、依然としてどの程度のウイルス負荷で感染が起きるかは明らかではありません。ウイルス粒子が段ボールの表面で確認されたからといって、気道感染を引き起こすかどうかは分かっていないのです(NEJM)。

4. 布マスクはサージカルマスク(医療用マスク)と比較して、SARS-CoV-2の感染防止にどのような効果があるのか? 
COVID-19(ウィルスの大きさは推定0.12μ)感染防止のための布製マスクの使用を評価したエビデンスはほとんど存在しません。 自家製の布製マスク(フィルターなし)は、いくつかの粒子状物質を防ぐことができるかもしれませんが、インフルエンザの感染防止効果は、工業生産されたサージカルマスクよりもはるかに劣ります(BMJ Open 2015)。 しかし、特定の材料が他の材料よりも有用であるというエビデンスはいくつかあり、おそらく集塵機(掃除機)バッグのフィルタをつけた布マスクは、サージカルマスクの有効性に近似する可能性があります。これらのタイプのマスクは、着用者を有意な範囲で保護しないかもしれませんが、無症状の人からウイルスが拡散するのを防ぐと共に、手や指で顔に触れるのを制限する効果は見込めるかもしれません。

5. (気候が)暖かくなったらCOVID-19は収まるのか?
気温の上昇に伴ってCOVID-19の症例が減少するかどうか、エビデンスはありませんが、アメリカ南部やアフリカなど、現在気温が高い地域での感染者数には増加がみられます。 その一方で、MERSの感染は寒冷かつ風の強い天候によって、部分的に増加することが示されており(BMC Infect Dz)、気温以外の季節的な要因(例:伝統的な休日など)がCOVID-19発生を悪化させるという仮説が立てられています(Swiss Med Weekly, 2020年3月16日)。

6. 子供にも影響があるのか?
はい。中国のデータによると、感染した子供の最大 16%は無症状であることがわかっています。多くの子供は軽症で済みますが、他に基礎疾患を持っている場合、ごく一部の子供が集中治療を必要とするより重篤な状態に陥ります。 またCOVID-19(NEJM 2020年3月18日NEJM 2020年3月12日)による子供の死者も確認されています。

7. 授乳中の母親で、新型コロナウイルス感染症の症状がある場合、また検査で陽性が出た場合は、母乳を与えるのを控えた方が良いのか?
SARS-CoV-2の感染経路についてすべてを把握しているわけではありませんが、SARS-CoV-2は母乳中には存在しないようです。 しかしSARS-Coに感染している、もしくは検査中の母親は、手洗い・マスクの着用・可能であれば搾乳し、別の介助者にミルクを与えてもらうなど、授乳時には特に注意を払う必要があります(CDCアメリカ産婦人科学会(ACOG))。


8. 検査で陰性であれば、SARS-CoV-2への感染はないと言えるのか?
COVID-19検査の結果を解釈する際には、検査前確率と有病率を念頭に置いてください。検査の感度が100%でない限り(現在SARS-CoV-2検査の推定感度は70~80%の範囲です)、有病率が高く、また病気の可能性が高い場合、検査で陰性とされても感染を完全に否定することはできません。 患者の最近のばく露や臨床的な所見からCOVID-19の可能性が高いと判断される場合は、偽陰性の可能性を特に考慮すべきです。現在の検査に限界があることを考えると、COVID-19の真の有病率はほぼ確実に過小評価されています。

9. COVID-19の患者はACE阻害薬やARBによる薬剤治療を継続すべきか?
SARS-CoV-2はアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体を用いて呼吸器細胞や心臓細胞に侵入します。動物実験ではACE阻害薬やARBを使用したことによってACE2発現に変化がみられましたが、これらの薬剤の使用に関連した転帰を報告した臨床研究はありません。 アメリカ心臓協会(AHA)/アメリカ心臓病学会(ACC)は現在、ACE阻害薬とARBの心臓保護効果が証明されていることから、ACE阻害薬とARBの継続を推奨しています。更に、COVID-19の併用療法としてARBを使用することも提案されています。

10. COVID-19感染時にイブプロフェンは使用しても大丈夫か?
ベンチサイエンスで非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)がACE2の発現を増加させる可能性があることが示唆されているものの、現在有効なのエビデンスでは、イブプロフェンをはじめとするNSAIDsはCOVID-19感染時に用いても大丈夫なことが示唆されています。 当初はNSAIDsの使用を推奨していたにも関わらず、世界保健機関(WHO)はその声明を撤回しました。アメリカ食品医薬品局(FDA)およびその他組織は、対症および解熱治療のためにこの種の薬剤を推奨し続けています。

詳細は DynaMed に掲載されている COVID-19 (Novel Coronavirus) トピックをご覧ください。

EBMフォーカスは、DynaMed 編集部が、様々な臨床試験の概要を簡潔な記事にまとめたものです。

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